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The Change Leaders:変化を牽引するリーダー達に聞く <br><br>第2回「"素振りの場" となるコミュニティを作りたかった」

教育のためのTOCは、スポーツと同じ—− 2011年に京都で開催された、第1回TOCfE国際認定プログラムに参加されましたね。その直後にコミュニティを立ち上げられましたが、どのような経緯があったのでしょう? 杉村寿重さん(以降 杉村):『ザ・ゴール』(注:エリヤフ・ゴールドラット博士の著書)を読んでいたので、TOC自体は昔から知っていましたが、TOCfEに興味を持ったのは2009年のことでした。プロジェクトマネジメントの交流会で、たまたま隣にいたトビーこと飛田さん(教育のためのTOC理事)からTOCのクラウドの話しを聞き、これは面白いと思ったんですね。仕事をしていると、さまざまな相談を受ける機会が多いのですが、相談者の考えている事を視覚化することで、相談者自身も、また相談を受けている自分も、その内容や背景をちゃんと理解できるに違いないと思いました。様々なカウンセリングに活かせると、直感的に感じたんです。 それから何年か経ち、トビ―からTOCfEが日本で実施されることを聞いて、国際認定プログラムにはすぐに参加を決めました。 このプログラムで教わったことは、頭では理解できたんですが、やってみるとできない。「分かる」と「できる」の大きな違いを実感しました。スポーツと同じ感覚ですね。テニスやゴルフのやり方を本で読んだり、上手い人から教えてもらって理解したとしても、自分自身は、すぐには上手にできませんよね。TOCfEもやり方が分かったら、次は、何度も練習して思考力をつけていく必要があると思いました。 なので、講師を立てて勉強する様な場ではなく、TOCfEのツールを使って自分で考えたことを発表する、考える力をつけていくトレーニング場を作ろうと思いました。実は、国際認定プログラムの最中に、参加者の1人とすでにそういう話しをしており、最終日の認定授与パーティの場で何人かに声をかけ始めていたんです。 「TOCfEオンデマンド」では、参加者は、TOCfEのツールを使って任意のテーマで考えてくる。その考えたプロセスをツールの使い方にそって発表し合うということを、ひたすらやっています。2011年8月の立上げ以降、毎月1回のペースで一度も欠かすことなく開催しています

人が集まってしまった!という予想外の展開—− 実際にコミュニティを開始されてみてからは、どうだったのでしょう?予想通りでしたか?それとも予想外の出来事はあったでしょうか? 杉村:そもそも「できない自分」のために始めたので、毎回発表したいと思い、最初は小人数で・・と思っていましたが、これが予想以上に人が集まってしまったんです。初回が20名で、その次が25名、そしてすぐに30名を越える人が集まって来てしまった。本来なら喜ぶべき事なのかもしれないのですが、「毎回発表して、練習したい」と思って始めたことだったので、正直、戸惑いました。なので早速このジレンマをクラウドに書いてみました。これ以上増えたらどうしよう・・と思ってクラウドを書いたのですが、少しすると増えたり減ったりすることが分かったので、そのまま自然に任せて継続して来ましたね。 —− 予想以上に参加者が増えたということは、杉村さんにとってはそれほど嬉しいことでは無かったわけですね。(笑)では、予想していなかった嬉しい発見はありましたか? 杉村:このコミュニティは、元々は国際認定プログラムを受講している事を前提にスタートしたので、TOCfEのツールの使い方を教えることはしていません。にも関わらず、早くも第2回目から認定プログラムを受けた人が、TOCfEを全く知らない知り合いを誘って来るようになったんです。 TOCfEは小さな子どもでもすぐに使い始めることができるツールであることを、認定プログラムの中でも紹介していますが、知り合いに誘われてやって来た人たちが、僕たちと一緒にツールを使っているのを見て、「ああ、あの話しは本当だ」と実感できました。ツールのパワーを感じましたね。 また、非常に多様な人が集まって来ていることも嬉しいことの1つですね。業種や職種が非常に幅広く、地域性すら無いんですよね。静岡からも参加してくれる人もいるくらいですから。そのお陰で、自分が考えたプロセスに対して、様々な視点からフィードバックをもらえる場であることは、このコミュニティの価値だと思います。 —− TOCfEオンデマンドは、誰にでも門戸を開いていますし、毎回テーマも決めずに、開催されているとお話し頂きました。その気軽さは確かにありますが、その一方で何か求心力になるものがないと続かないケースも多いかと思います。TOCfEオンデマンドがコミュニティの勉強会として継続できている秘訣は何でしょうか? 杉村:一言で言うと、自分のトレーニングをすることがオンデマンドの目的だから続いているのではないでしょうか?最初にも言いましたが、僕自身、トレーニング場が必要だと思ったので始めました。でも最初は、どこかかっこつけていて、ニュースに出てくる様な内容から、クラウドやブランチ(注:TOCfEの考える道具)を書いたりしていたんです。でも、ある時を境に、それがガラっと変わりました。それが「シュウマイのクラウド」なんです(注:シュウマイに醤油をかけるのか、ソースをかかけるのかというジレンマを書いた杉村さんのクラウド(対立解消図))。このクラウドは、周りから見たらバカバカしい内容だと思うのですが、自分がまさにその渦中にいる、当事者だったんです。それ以前に扱った内容は、自分が渦中にいることは不可能なケースが多かった。人前で話すのは、少し恥ずかしいと思うくらい、自分がどっぷりその中心にいるような内容について、TOCfEのツールで考えてみると、このツールのパワーを強く実感できると思います。かっこつけて、こぎれいなテーマを扱う必要は無いんです。 だから、オンデマンドは、安心して何でも出せる場であることを大切にしたいと思っています。ここは素振りの場なんです。「なんでこんなことで悩んでいるの?」と思われそうなテーマで全く構わないし、それを笑う人は、ここには誰もいません。もちろん守秘義務もバッチリです。きっと、TOCfEを学んだ人たちには、そういう場が求められていて、それが継続できている理由かもしれないですね。

TOCを再発見して欲しい—− なるほど。公式のプログラムを実施する側からすると、こういうコミュニティとの連携があってこそ、ここまで広がって来ているんだということを実感できました。 順調に続いて来ているTOCfEオンデマンドですが、杉村さんが今後挑戦してみたいことは、何かありますか? 杉村:「こういうTOCもあるんだ」と色々な方が思ってくれる取り組みをしてみたいですね。 かつての僕自身がそうだったように、TOCを『ザ・ゴール』で知った方は多いと思います。そういう方々は、もしかすると、TOCとは、生産管理やプロジェクトマネジメントの世界でのみ使用されるもの・・というイメージがあるかもしれません。そういう方々が、「こういうTOCもあったんだ」と思ってくれたらいいなと。TOCの再発見に繋がることをやってみたいです。 その1つは、これまでオンデマンドで蓄積された、思考プロセスの結果をアーカイブとして発表したらどうだろう?と考えています。生産管理なんて大きな事ではなくて、自分の本当に身近な問題に対して使ってもらう、使って良いんだということを発見してくれたら嬉しいです。 もう1つは、僕が今やっている川崎市のホームレスの方の自立支援活動に活用できないかと考えています。こういうケースへの適用は、あまり聞きませんので、新しい活用シーンを提示してみたいと考えています。

インタビューを終えて 「TOCfEはスポーツと同じで、素振りが必要」という杉村さんの言葉が印象的でした。TOCfEは非常にシンプルな、3つのツールで構成されています。ツールそのものの使い方を理解するのは、それこそ5歳のこどもでもできるほど、シンプルです。だったら、すぐに使えるようになりそうなものですが、そこに、私達が大人であるが故の悩みどころがあることを、杉村さんとお話しする中で、改めて認識しました。 私達は、これまでの人生の中で、様々なことを学び、経験を積み、そして周りの人から多くの影響を受けながら生きてきています。その中で、重要な事柄と一緒に、思考の癖や、思い込みといったものも身に付けてしまうことは、避けて通れません。 杉村さんのお話しを聞いているうちに、TOCfEのトレーニング場である「TOCfEオンデマンド」では、不必要な思考の癖や思い込みを取り去り、軽快に人生を歩んで行く方々がどんどん増えていっている様子が、思わず映像のように浮かんできました。 ■今回お話しを伺った方のご紹介 杉村 寿重 様 川崎市教育委員会(教育改革推進協議会委員) 川崎市健康福祉局(ホームレス自立支援推進協議会委員) Facebook: https://www.facebook.com/sugimura.h ■聞き手 吉田裕美子 NPO法人教育のためのTOC日本支部 理事 Facebook: https://www.facebook.com/yumiko.yoshida

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教育のためのTOC 国際オンライン・シンポジウム2022開催レポート

<TOCfEのツールとは> <各国からの発表事例> 発表された事例テーマは多岐に渡りました。 ・卓球で勝つために(韓国) ・エッセイ・ライティングへの適用(南アフリカ) ・パンデミックのなかでポーランド、イタリア、リトアニアの先生たちがこどもの可能性を引きだすために日常的に取り組んだこと ・合併された地域に平和をもたらすためのTOCの活用(シンガポール) ・TOCツールを使ったジェンダー

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